インタビュー

勝つトレーダーの手法にはチャートパターン認識を超えた領域のものが含まれている | ラーナーさんインタビュー

投稿日:

システムトレードの検証を続けながら、虎視眈々と裁量トレードの精度も追及し続ける兼業トレーダーのラーナーさん。
今回はそのラーナーさんから、システムトレード、そして裁量トレードの難しさについて貴重なコメントをいただきました。

ラーナーさん http://trade-learner.com/

【「デモ好調→いきなり専業成功」の流れはありえない】

―――ラーナーさんは「自分の実力が本物でないと判断したら専業になるのを踏みとどまる」とブログの方で綴っておられますが、「単に会社を辞めたい」「デモトレードで好調だったからいけそう」といった気持ちから専業トレーダーになろうとする方もおられます。
そのような動機だけで専業トレーダーとして結果を残すことはできるものなのでしょうか?

ラーナーさん

無理でしょう。
そのようなスタートをきって結果を残している専業トレーダーは聞いたことがありません。
専業で成功されている方のほとんどは、専業になる前にリアル口座のトラックレコードを積み上げていて、そこから勝算や確信を見いだしてから専業にシフトしていると思います。

中にはトラックなしで専業となり生き残っている人もいますが、最初の数年はマイナス覚悟であったり、一度破産を経験して乗り越えたりしています。
その間にやはり成功の糧となるトラックを築きあげているわけです。
ですから、「デモ好調→いきなり専業成功」の流れは、ありないと思います。

専業トレーダーの成功要因には動機もあると思います。
その動機が、会社が嫌だというのは別に悪いことではないと思います。
専業のメリットに会社に行かなくていいというのもありますし、会社を辞めたかったら専業になったという話も聞きます。
ただ実際の成功者も「会社辞めたい→専業」でなく、「会社辞めたい→トラックを積み上げる→専業」のプロセスをたどっているはずです。

 

【勝ち続けているトレーダーの手法通りにやってもまず勝てない】

―――ラーナーさんは現在でも裁量トレードの検証を続けておられるかと思います。
ラーナーさんが思う裁量トレードの難しさを教えてください。

ラーナーさん

私はシステムトレードをメインでやってきているので、システムトレードとの比較になってしまいますが、バックテストができないという点が裁量で一番困難な点だと思っています。
実戦でしか、経験値や検証を積み重ねることができないと言い換えてもいいです。

実際に何年も勝ち続けているトレーダーが手法を公開してくれたりしていますが、その通りにやってもまず勝てません。

その手法には、言葉にはできない、チャートのパターン認識を超えた領域のものが含まれています。

それは相場観や価格の勢いなどだったりするわけですが、これらは完全に個人の経験値に基づいていて他人と共有することはできません。
そのため裁量をものにしようとする場合、この経験を自分なりに身につけていく必要があるのですが、これは過去のチャートを見るだけではもちろんできません。

価格の勢いやポジション保有時のメンタルや時間経過の要素もあるので、ForexTesterのようなツールもあまり有効でないと思います。
やはり実戦でトライ&エラーを続けていくしかないわけです。
これが長い年月を要し、すぐには結果が出ず、また続けても道が開く保証はないというのがきつい所だと思います。

他人の教えは参考程度、自分で方法論を構築していくしかない、時間を要する、でも成功するとは限らない、こういった性質が裁量の難しさだと思います。

 

【システムトレードから裁量、そしてシステム構築へ】

―――「裁量の勉強を始める以前のシステムトレード時代では、身についたFXの知識や経験はほとんど無い」とブログでコメントされていますが、なぜそう思ったのかを詳しく教えてください。

ラーナーさん

最初にシステムトレードが知識や経験にならないということではないと断っておきます。

当初の私のシステムトレードに対する取り組みが甘かったので、経験とは言えないと思っているだけです。
今も裁量よりシステムトレードを重視していますが、今の取り組みは経験になっていると思っています。

私はFXはシステムトレードから入りました。
何年かだらだらシステムトレードだけやっていたのですが、これでは大金は稼げないと考え、裁量にも手をつけ始めました。
その時に、何をやっていいのかさっぱりわからなかったのです。
ローソク足やインディケーターの定義は知っていましたが、それをどう利用するのか知りませんでしたし、レジサポの考えもしりませんでした。
投資本を何冊か読んでいましたが、それだけでした。
それはただの文字情報でしかなく、実戦で活かせる類いのものでないと実感しました。

今にして思えば当然のことだったと思います。
システムトレードといっても自分でEAを作ったわけでなくEAを購入して動かしていただけです。
ろくに勉強もせず、EAの販売ページのパフォーマンスだけ見ていました。
相場観なんて考えたこともありませんでしたので、どんな相場の時にパフォーマンスを発揮するEAとかも気にしていませんでした。
でも購入したEAを動かしているだけではあまり稼げなかったので、その後、自分でシステム作成を試みました。
この時も自分でインディケーターを組み込んだり相場の状況を考えるとかいったアプローチでなく、機械学習を利用しました。
価格データを放り込んでモデルを作るというアプローチなので、ロジックは購入したEAと同様ブラックボックスでした。
私のシステムトレード時代はこんな感じで、相場やFXの本質を考えることは何もしてこなかったので、トレード経験とは言える物ではありませんでした。

代わりと言ってはなんですが、プログラミングの知識や経験はだいぶついたと思います(笑)

 

【あっというまに損切りラインに到達。完全な思考停止状態に】

―――ラーナーさんはブログ内でトレードについての心境を時折更新されますが、「勝てなさ過ぎて頭がおかしくなりそう」とコメントされる記事がありました。その時の状況や心境はどのようなものだったのか教えていただけますか?

ラーナーさん

吟味してトレードしているはずなのに、簡単に損切りラインに到達。
損切り幅と同一幅の利益をとることは不可能に近いほど困難なのに、損切りラインにはあっという間に到達。
損切り幅が狭くて狩られている、なので余裕をもったストップを設定、でも利益は必要なので利幅は狭いまま、それでもあっさりと広げた損切りに到達。
こんなことが続きました。

何だこれは、ありえんみたいな完全な思考停止状態になりました。
これはお金がいくらあっても足りない、生活にかけている金額から再調整が必要かも、みたいなことも考えました。
トレードに関することでなく、実際のお金を考えるようになっていました。

結局、この後はロットを下げて、だらだら裁量を続けていただけです。
次第に裁量もしなくなりシステムトレードに注力するようになりました。
このときにもっと粘り強くしがみつくことができていたなら、今頃はもっと裁量の技量が身についていたのではないかと後悔しています。

 

【ついに儲かるシステムができたと稼働するも大損】

―――「有用なシステムを作るのは難しい」とのことですが、どのように難しいのかを教えてください。

ラーナーさん

ここでいうシステムとは、裁量に使うトレードシステムのことでなく、完全自動運用のシステムのことです。
この「有用な」というのがポイントです。
簡単なことではありませんが、ただ利益を上げられるシステムを作ることはできるでしょう。
ただいつ大損するからわからないから、小ロットでしか運用できないよ、小銭は稼げるでしょ的なシステムです。
私が現在、運用しているのもこんな感じです。これはとても有用とはいえません。

この大損を排除して大ロットで動かせるようになって、はじめて有用と言えるのですが、これが難しいです。
裁量であれば熟練者の場合は、相場観や経験に基づく感で、トレードを避けたり、枚数を下げたり、ポジションを持っても一部手仕舞ったりでリスクコントロールできるわけですが、これをシステムに組み込むとなるとどうやっていいのかわかりません。

「マーケットの魔術師」に出てくるトレーダーの一人が(誰か忘れました)、DDが10%で、年利40%のシステムなら使うことができると言っていました。
想定最大DDを10%に押さえて年利40%は困難です。
許容リスクをもっとあげて、結果的にはDD10%以内で40%稼げましたとかなら、あるかもしれませんが。

上手くいかなかった事例はたくさんあります。
今にして思えば全部浅はかなミスばかりですが。

バックテストの期間だけ上手くいく戦略やフィルター、過剰最適など一般的なものから、一番低レベルのものだと、未来の価格データを使っていて、正しいバックテストができていなかったというのがあります。
バックテストの結果が良すぎて、明らかにおかしいわけですが、当時の私はがっぽり稼げるシステムは絶対できると思い込んでいました。
ついにできたと喜んで稼働したわけですが、言うまでもなく大損しました。

他にはバックテストの結果を正しく評価できていなかったというもあります。
PFの概念を知らずに、年間ではプラスになるからという理由で本番稼働させたこともあります。
あとはストップロスなしのシステムを動かして大損したこともあります。
バックテストではたまたま大きな損失がなかったので、ストップロスを設定しなかったわけですが、実際に稼働させると1ヶ月ぐらいでバックテストの最大損失を超えました。

 

【「勝てるようになった」と思っても、結局一時的なものだったことが何度もある】

―――ラーナーさんはある時期で、「初心者にある始めの勝てない期間を乗り越えた」と感じたタイミングがあったとの事ですが、ご自身でそれは愚かな考えだったと振り返っておられます。
なぜそう思われたのか、当時の状況なども含めて詳しく教えて聞かせてください。

ラーナーさん

裁量のある情報商材の方法を試していたのですが、ずっと勝てないままでした。

でもある日、資料を読み直して2回目で理解できた事項もあり、それを実際のトレードで生かすことができました。
以降もいい感じのトレードが続いて再現性があると思い、ようやく勝てるようになったと思いました。
でもしばらくして勝てなくなり、再現性のある経験が自分にはまだないことがわかりました。
手法をなんとなく使ってたまたま勝っていただけに過ぎないと言うことに気づきました。結局勝てない状態に戻り、自己嫌悪に陥りました。

これまで何度も勝てるようになったと思っても、結局一時的なものだったということがあります。
勝てるようになったと思うのは、根拠のない自信からでなく、積み上げたトラックレコードから思うようにしなくてはいけないと実感しています。

 

【システムトレードの新たな世代「AI」】

―――ラーナーさんは今後の見通しとして「システムで勝っていくのはますます難しくなっていくのではないか」とコメントしておられますが、その理由について詳しく教えてください。

ラーナーさん

これはかなり主観的な意見になりますが、端的に言うと、市場でのシステムトレードの割合が増えて競合が発生するから、難しくなると思っています。
今はまだ市場の資金量が裁量にたくさんあるので、システムトレードが通じる余地があると思います。
でも、この資金量の比率がシステムトレードよりになってきて、みんな(大量の資金)が同じことをするので、AIでも単純な分類モデルのシステムなんかは通じなくなる気がしています。

システムトレードが増える要因としては、まずAPI環境が整い始めているという点があります。
徐々にAPIが増えてきて、MT4に頼らずとも発注できるようになりました。
また個人にとってもFIXが標準となり浸透し始めたら、たぶん今よりもっとAPIで配信される情報が増えると思います。
価格データだけでなくブローカーの板情報や抱えているポジション量、指値注文量などの情報がリアルタイムで配信され始めるかもしれません。
となるとその辺りの情報もうまくシステムに組み込んで行く必要がでてくるかもしれません。
この辺りもシステムトレードを困難にしていくと思います。

そして何よりAIの台頭です。
システムトレードには何世代かありますが、AIは明らかに新たな世代です。
今は市場にはまだAIと旧世代のシステムトレードが混在していると思いますが、そのうちシステムトレードはAIトレードだけになると思っています。
今は個人や小規模のファンドやプロップファームが使っているだけかもしれませんが、そのうち多くの人が本格的に参入してくると思います。
となると競合相手が多くなります。
AIの分野なので、競合相手も基本的に頭の良い集団だったりすると思いますので、その手の連中と戦うのは茨の道です。
AIは方法論や精度がどんどん進化していくので、その情報を絶えず追う必要がありますし、データ量やマシンリソースが必要なので資金も必要、トライ&エラーの世界であるので時間も必要です。

まとまりがなくなってしまいましたが、以上がシステムトレードが困難になっていくと思う理由です。

 

【大きなイベントでギャンブル投資する人は負け役として不可欠】

―――ラーナーさんは「ブレグジット」「トランプショック」という大きなイベントをノートレードで過ごされましたが、初心者でも積極的にそのようなイベントでトレードする方もおられます。ラーナーさんはそのような方についてどう思いますか?

ラーナーさん

初心者なら、ただのギャンブラーか、そのことすら自覚のない人でしょう。

自覚のない人はかわいそうだとは思いますが、調べが甘いのは自己責任なので仕方がないとも思います。
ギャンブラーなら自分と違うタイプの人だなと思うぐらいでしょうか。
ご本人が楽しめるならそれでいいと思います。
それもFXとの関わり方の一つです。
こういう人たちは、負け役としてFXに不可欠なものなので大歓迎です。
個人的には関わり合いたくありませんが(笑)。

逆に初心者でない場合、ビッグイベントを主戦場としている方は、何らかのファンダメンタルズや戦略、ビッグ相場に追従する技量や経験を持ち合わせていると思うので、尊敬します。

実際に話を聞いてみたいとも思います。
どこにいて、どうやったらお知り合いになれるのかわかりませんが。

 

【勉強嫌い、勝負事が嫌いという人はFXには向いていない】

―――もし「こんな人はFXには向いていない」というのがあれば教えてください。

ラーナーさん

勉強嫌い、勝負事が嫌いという人は向いていないと思います。

「勉強が得意 = FXの素質あり」というわけではありませんが、それでも勉強嫌いの人は向いていないでしょうね。
本を読んで勝てるようになるわけではありませんが、本で学ぶことは大前提です。
トレード方法だけでなく、資金管理、リスク管理、メンタル、成功者たちの体験談など学べることはたくさんあります。
そして何より日々のトレードの振り返りや検証を愚直に重ねていく必要があります。
つまり自身のトレードレコードを教材として、絶えず学び続けていく必要があります。
勉強が必要というのは本だけでなく、検証作業も含めてのことです。
こういったコツコツ努力していく泥臭い作業が嫌いな人は向いていないでしょう

そしてもう一つ、勝負事が嫌いという平和主義も向いていないです。
FXは勝負事です。
ゼロサムゲーム、お金の奪い合いです。
負けてくれる人がいるから、稼ぐことができます。
「鴨よ、ありがとう! 自分は稼げて当然!」という横柄な考えは必要です。
トレードそのものに対しては謙虚な姿勢が必要ですが。
勝負事なので、新規参入者、つまり初心者は負けて当たり前です。
そこからコツコツと実力を身につけていき、勝ち組に回るプロセスを楽しめないような人は向いていないです。
ストイックでマゾ的な資質が必要です(笑)

 

―――ラーナーさん、本日はFXの厳しさが伝わる貴重なコメントをいただき、誠にありがとうございました。

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  1. […] 私が今回受けたインタビュー記事はこちらになります。私自身、非常に考えさせられる質問内容でした。私の浅い経験や考えに基づく内容ではありますが、嘘偽り無く回答しております。一読いただければ幸いです。 […]

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