今回はFXトレーダーとして大損失の経験を持つ著名トレーダーのぶせなさんにインタビューさせていただきました。自身の経験をもとに「FXに向いていない人」「FXを辞めた方が良い人」についてリアルな意見を伺いました。
95%の人はFXで稼げない現実
ぶせなさん
残念ながらFXで利益を手にしているのは上位5%、トントンの人は15%、残りの80%は負けています。
私から言わせれば、勝てていない95%の人は、軽い気持ちで何の努力もせずに、ただギャンブルとして取引しているだけです。
甘い言葉に誘われて、自分も稼げると勘違いしていると痛い目に合います。ネットでも成功している5%の人ばかりにスポットライトが当てられがちですが、その裏で残りの9割が勝てていない現実があります。ひどい場合には、軽い気持ちで始めたFXのせいで大切な貯金を失ったり、借金を抱えて家庭崩壊や自殺にいたるようなケースもあります。
大前提として、FXはみなさんが思っている以上に厳しい世界だということを認識したほうが良いでしょう。
「楽して稼げる」と思っている人は確実に失敗する
ぶせなさん
そうですね。まず「FXは楽に勝てる」と勘違いしている人は、確実に負けている80%に当てはまります。
また、適当にやって、ラッキーチャンスで一儲けしたいなんて甘い考えをしている人も絶対に失敗します。
そもそも、この世の中に、楽をして大金を手に入れられる業界なんてありません。仕事でもスポーツでも勉強でも、どの世界でも、本当の勝ち組になれるのは、上位のほんの数パーセントの人たちです。
そして、その数パーセントの人たちは、高い目標を持ち、その目標を実現するために自分の頭で「どうすればうまくいくだろうか」と考え、決して折れずに実践を続けてきた人たちです。誰一人として、楽をして成功した人はいません。
FXの世界も全く同じです。
「FXで利益をあげている上位5%の人たちが行っている努力にも負けない努力をする」事が出来る人だけが利益を上げられます。何の努力もなく成功できる世界など、この世には存在しません。
もし一時的に利益が出たとしても、私の知る限り、彼らのうち驚くほど多くが、ほどなくしてFX市場で手痛い失敗をして、稼いだ額以上の損失を背負っています。
1年で100冊の本を読んでも勝てない
ぶせなさん
まず次の項目に思い当たるフシはありませんか?
・一刻も早く今の環境(一般社会)を抜け出したい
・サラリーマンはイヤだ
・早く大金を稼ぎたい
・早く楽になりたい
もし仮にFXをそこまで舐めていなくても、これらの願望を強く抱いているなら、FXの勉強をしていても、一度の取引で破滅してしまう危険性があります。
ピンと来ない方が多いかもしれないので、私の体験談をお話しましょう。
初心者だった私は、職場の過酷な労働環境と、人間関係にかなりのストレスを抱えており、一日も早くこの生活を抜け出さなければという焦燥感に駆られていました。
そのため、「何が何でもFXで成功してやる!」と意気込み、1年で100冊以上のFXの書籍を読破するほどのめりこんでいました。ただ、実際のトレードでは、ロット(=トレードに費やす金額)も低く、ほとんど収益を上げてもいませんでした。
正常に判断すれば、このような状況でいきなり大勝負に出ようとするはずがありません。しかし、当時の私は「一刻も早く今の環境を抜け出したいという焦り」と「短期間で誰よりも知識を身に着けてきたという過信」により完全に正気を失っていました。
私は、まだ金額の低いレートですら勝てていなかったのに、「自分はもう初心者ではないから勝てるはずだ!」という妄想にとりつかれ、どんどんロットを増やしていきました。
結果は最悪でした。ロットを増やしてから、すぐにあのリーマンショックが起こったのです。みるみる価格が暴落する中で、私はいつまでたっても損切りができませんでした。
今から振り返れば、明らかに損切りすべき局面であるにも関わらず、焦りと過信にとりつかれていた私は、「こんなに下がり続けるはずがない。きっとすぐに反転して上昇するはずだ。」と、現実から目をそらしてしまいました。
それどころか欲をかいて、「損失を軽くしよう」「あわよくば大儲けしよう」と、大暴落相場の中でナンピン(=価格が下がったところで買い増して、平均取得単価を下げる事)までしてしまったのです。
最終的には、神にもすがる思いで反転を祈りましたが、当然上がるはずもなく強制ロスカット寸前で損切りをしました。
100万円の損切りが出来ず、たった1回の取引で1000万円以上の損失を被ったのです。
しばらくは本当に絶望の淵に立たされました。
話だけ聞いていると、他人事のように思われるかもしれません。しかし、これはFXで全財産を失い借金を抱えるほどの大損をしてしまう人の典型的なパターンです。
もしこのインタビューを読まれている方が、当時の私と同じように焦燥感に駆られてFXをしているなら、あなたも典型パターンの一員です。取り返しのつかない失敗をする前に、FXから足を洗った方が良いかもしれません。
ぶせなさん
人間の思考回路が、損切りできないような仕組みにできているからです。
せっかくですので、読者の方が実感できるように心理テストをしてみましょう。
あなたは、次のどちらに魅力を感じますか?
(A)100%の確率で10万円手に入る。
(B)50%の確率で20万円が手に入るが、50%の確率で何も手に入らない。
決まったでしょうか?それでは次の選択肢ならどちらを選びますか?
(C)100%の確率で10万円損する
(D)50%の確率で20万円損するが、50%の確率で損しない。
選べましたか?
おそらくあなたは、最初の質問ではAを、次の質問ではDを選んだと思います。これがまさしくFXで負ける人の典型的な思考パターンです。
どういうことかというと、人は、「利益は確実に得たい」と思い、「損失は、ゼロにできる可能性があるならリスクを冒してでも回避したい」と思うということです。
この心理のせいでわかっていても損切りができず、たった一回の取引で人生を台無しにしてしまう人がいるのです。
強制ロスカットは必ず破滅。マージンコールが届く人は強制ロスカット予備軍。
ぶせなさん
まずは初心者のために、「強制ロスカット」と「マージンコール」を簡単に説明します。
「強制ロスカット」とは、トレーダーが元手以上の損失を追う羽目にならないように、FX業者が自動的に決済するシステムです。
次に「マージンコール」は、トレーダーが一定の損失が出そうになった時に「そろそろ危険ですよ」というサインを教えてくれるもの
強制ロスカットの心配をしないといけないようなトレードをしている人は、投資でなく投機をしているので、近いうちに必ずFXで破滅します。
私は、強制ロスカットの危険があるようなトレードをしている人は、資金管理能力が致命的に欠如していると考えています。
短期的には資産を何倍かにできたとしても、必ずそれ以上の損失を抱えて退場することになります。
為替の相場では、みなさんが想像している以上に激しく相場が変動します。これは実際に体験した人にしかわからない感覚でしょうが、定期的に「急変」という言葉でも足りないぐらいに、爆発的に暴落したり暴騰したりします。
最悪の場合、このような爆発的な急変期では、強制ロスカットが間に合わないこともあります。気付いたら、想像を絶するような損失を負い、莫大な借金を築いてしまうこともあり得ます。
ここはこのインタビュー記事を読んでいる方の人生を守るために強く言わせていただきたいのですが、もしあなたが強制ロスカットの危険性があるような水準でトレードしているなら、あなたは破滅に片足を突っ込んでいます。
ぜひ、取り返しのつかない失敗を犯す前に気付いてもらえればと思います。
ぶせなさん
マージンコールが届くようなリスクを高めにとる取引で資金を増やそうとする人は、私の知る限りあっという間に損失を出して、FX市場から退出しています。
マージンコールを受けるような取引をしている時は冷静さを失い、危険なトレードをしている証拠です。近いうちに強制ロスカットに陥るため、自分の身のためにもFXを辞めた方が良いでしょう。