FXスタート直後に大損失を出したことがあるという兼業トレーダーのみけさん。
今回はそのみけさんに、過去の実体験を含めたFXのリアルな実態についてコメントをいただきました。
【FXに関するテレビなどの情報は利益を出す1割の人にフォーカスされている】
みけさん
成功体験の例も多く、手軽にできる資産形成として夢があるからだと思います。
私もテレビでスマートフォンをささっと操作して、20万円を30分で稼ぐ人を観て、そんなに簡単に稼げるんだと思い始めました。始める前はなんとなく怖いイメージがありましたし、元金以上の損失が出て借金をすることになると考えていましたが、調べてみるとリスク管理をしっかりすればそんなことはないと知り、調べるうちにハードルが下がっていくんですよね。
実際はリスク管理にはメンタル面も大きく関わっているのですが、そこまで行き着くことなく始めてしまい、損失を出し、退場するのだと思います。
みけさん
テレビで言えば成功例の方が夢があって視聴率が稼げるからでしょうね。
あとは、少なからずマイナス面の情報はあるのですが、これから始めようとしている人の目には映らないのだと思います。
FXは怖い面もあるけれど、やってみなければわかりません。
いきなり本番は怖いからまずはデモトレードをやってみる。
しかしそれは自分のお金ではないため、含み損が出ても全然気にならない。
何となくやっていても利益になるので、自分はセンスがあると勘違いして本番をし、損失を出してしまう。
成功例として世に発表されるような人たちは、その人たちだからできたわけであって、未来の自分とは限りません。
継続的に利益を出せる人は全体の1割と言われています。
1割だけにフォーカスする危うさに気づいて欲しいと思います。
【FXの手軽さが招く借金の無限ループ】
みけさん
損失を認めたくないからだと思います。
例えば1ヶ月コツコツと頑張って元金含めて100万円稼いだとします。
それが僅か1日で10万円くらいになってしまったとしたら、また1からコツコツ頑張ろうと思えるでしょうか。
昨日までは100万円だったんだから一刻も早く取り戻したい。
そういう気持ちが抑えきれず、手持ちの資金をつぎ込む。
そして、ここまで下がったんだから、これ以上は下がらないはずといった、自分に都合の良いストーリーを描き、ハイレバレッジで大勝負に出て資金を失う。
そんな感じだと思います。
みけさん
パチンコと同じで、「あともうちょっとで当たるんだ!」という感じで、借金しちゃうような感じですかね?
パチンコをしたことがないのでわかりませんが…。
想像で話をすると、FXの手軽さも関係していると思います。
例えば明日までに50万円用意しろと言われて、今からバイトを探したり、何かを売ってお金に換えるというのは非現実的です。
ですが、FXであれば株と違って相場は24時間動いていますし、海外業者のハイレバレッジを利用すればちょっと用意すればすぐに稼げますからね。
自分の出した損失分を取り返したら借金はすぐに返済するはずが、それすら溶かしてしまって、また借金をする。
無限ループですね。
【スタート資金の50万円を一瞬でなくす】
みけさん
それでは、私がスタートした当時の経験をお話します。
■50万円からスタート。こまめに利確を繰り返す。
最初は50万円からスタートしました。
一昨年の11月頃だったと思います。
最初の1ヶ月目は1日2000円くらいを目標に、こまめに利確を繰り返し、2万円ほどの利益を出しました。
その頃は手法なんてあってないようなものでした。
移動平均線よりローソク足が上にあれば買い、下にあれば売り。
ボリンジャーに触れたらポジションを持つ。それくらいです。
そして調子に乗り始めた12月頃です。
FXの虜になってしまった私は年末の閑散とした相場で豪ドル円を買いました。
これが間違いでした。
■株価暴落のニュース。見たこともない含み損。
年が明け、朝起きてテレビをつけるとアナウンサーが「株価が暴落している」と報じていました。
慌てて相場を見ると今まで見たこともない含み損が目に飛び込んできました。
今まではせいぜいマイナス1000円くらいの含み損だったのに、今回はマイナス数万円です。
逆指値、つまり損切りの設定なんてしていませんでした。
最初はどうしよう!と思いましたが、そんなに大きな額の損切りはしたことがなかったので、すぐに戻ることを期待してそのままにしてしまいました。
ですがそれから一向に戻る気配はありません。
これはいよいよまずいぞと思い、初めて両建てをしてみました。
しかしそんな相場で、かつ、上級者でも難しいと言われる両建てをうまく使いこなせるはずもなく、無駄に損失を出し、証拠金を減らしてしまいました。
■黒田バズーカに賭けて損失が緩和
私は藁にもすがる思いで情報をかき集めました。
すると、近々、黒田日銀総裁の政策発表があるとの情報を入手し、黒田バズーカなるものがあると知りました。
私はこれにかけてみようと思いました。
その頃には含み損は数十万円に膨れ上がっていました。
そして黒田日銀総裁の発表の時です。
マイナス金利が導入されるや否や、豪ドル円はぐんぐんと上昇を始めました。
あれだけ膨れ上がっていた含み損が、みるみるうちに減っていったのです。
「助かった!」と安心しました。
ですが、含み損はまだ数万円あります。
もうちょっとだけ上げてくれればチャラになる。あわよくば含み益で決済したい。
あれだけ、早く損切りしておけば…と落ち込んでいたのに、そんな欲望が湧いてきました。
「このポジションを決済したら、しっかり勉強しよう」、「逆指値もしっかり設定しよう」、「大きくポジションを持ちすぎないようにしよう」と、決意を新たにしました。
■やっと希望が見えたところで強制ロスカットに
それから豪ドル円の上昇は約10日ほど続いたと思います。
建値まであと2円ほどのところでした。
そして11日目。私は目を疑いました。
豪ドル円は、これまでの上昇はまるで幻であったかのように、今まで以上のスピードで落ち始めたのです。
1ヶ月間、含み損を耐えて耐えて耐え抜きました。
そしてやっと希望が見えてきたところで、奈落の底に落とされました。
その下落は前回の下落をはるかに超えており、安値を2円以上も更新するほどの下落でした。
そんな下落に耐えられるはずもなく、私のポジションは強制ロスカットが執行されました。
何も買っていない、物体として何も得た物がないのに、50万円もの大金が文字通りなくなりました。
【利益を出すことしか考えていない人は勝てない】
みけさん
利益を出すことしか考えていないからだと思います。
損切りが大事なことはちょっと調べればどこにでも書いてあるので、最初のうちは損切りを実践してみるのですが、これが2回、3回も連続で続くとだんだんとイライラしてきます。
しかも不思議なことに損切りした後に反転し、損切りしなければ含み益になっていた位置まで戻ることも沢山あります。
そういったことが多くあると、実は損切りってしなくてもいいんじゃないかと思ってしまいますよね。
そこで損失分を一気に取り戻そうと大きく出てしまう、これが負ける人の共通点だと思います。
みけさん
命綱無しでバンジージャンプしてるのと一緒です。
自殺志願者としか思えません。
仮にドル円が1円になったとしても耐えられる莫大な資金を保有しているのであれば別ですが、それだと含み損中は身動きがとれません。
あくまでも損切りは必要経費です。
【検証ができないトレーダーは市場にお金を投入してくれる養分】
みけさん
いずれ大負けするだろうなと思って見てます。
FXは損失の許容量を設定し、長期で運用していくものです。
検証ができないのならFXはやるべきではないです。
まぁ、本音を言えばFXはゼロサムゲームで、誰かの損失は誰かの利益なのでそういった人が市場にお金を投入してくれるのはありがたいですね(笑)。
かつての私がそうだったように、いわゆるカモ、養分ですね。