今回インタビューにご協力いただいたタロウさんは、FXで1250万円もの借金を作った過去があるそうです。
今回はそのタロウさんから当時の状況や、FXの厳しさについてコメントをいただきました。
【ハイレバにより1pipsで8000円の含み益。笑いが止まらなかった。】
タロウさん
最初は自分の小遣いでできる手持ちの範囲ではじめました。確か資金は5万円程だったと思います。
資金が5万程ですとせいぜい手持ち出来る枚数は1枚ぐらい。
1pipsの上下で100円程にしかなりません。
ほんの数百円の利益を確保するために長期ポジションを保有したりすることが多く、利がのってても結局は含み益が含み損に変わってしまうことがしばしばありました。
そんなある日、1枚の枚数でトレードするよりも枚数が多い方が単純に多くの利益が出せるのではないかという浅はかな気持ちが芽生えました。
そう思いついた私は、ちまちまとトレードする事がバカらしくなり、資金を調達してからトレードしようと思いつきました。
早速250万円近い資金を調達し、ほぼ全額をトレード資金に投入しました。
今までポジションも1枚しか持った事がありませんでしたが、いきなり70~80枚近い
ポジションを持ちました。マックスのレバレッジです。
80枚のポジションを保持した時は、1pipsでいきなり8000円の含み益です。
もう笑いがとまりませんでした。
こんなにも簡単に利益が出るのかと思いました。
ただ私はこの時、ポジションを増やした場合のリスクというのをまったく考えていませんでした。
当然ながら、一瞬で8000円の利益が出るということはその逆もあるということで、一瞬で8000円を失うということになります。
トレードの実力も伴っていないのに、借金してポジションを増やしてしまった。
資金もみるみるうちに底をついていき、250万円があっという間に底をつきはじめました。
当然内緒の借金ですので、なんとしてでもばれないように隠し通す必要がありました。
250万の借金の月々の返済もありますので、当然資金がなくなる事だけは避けなければなりませんでした。
しかし、一度借金をして資金が底をついてしまった以上、そのことをばれないように隠し通すには、また他から資金を調達するしかなかったのです。
つまり、一度借金をしてトレードをしてしまった事により、もう後には引けなくなっていました。
ほんの軽い気持ちで安易に借金をしてトレードをしてしまった事を本当に後悔しています。
FXは簡単に利益が出せるなんて方がいたら今すぐにでも考えを改めて下さい。
一回ぐらいまぐれで大きな利益が出る事はあるかもしれませんが、安易な気持ちで取り組むと取り返しのつかないぐらい深みに嵌り、そこから抜け出せなくなってしまいます。
特に、お金がなくてお金を増やそうとしてFXをやる方がいたらそれはやめて下さい。
大切なお金を無くします。
【すぐに返済すれば問題ないだろうという考えから250万円の借り入れに】
タロウさん
そこが浅はかな考えでとても短絡的な思考だったと思います。
最初は、借金の資金でやっていくつもりはありませんでした。
あくまでも一時的に借入れてとりあえず大きなポジションでトレードをして少しでも利益を得たいと思うだけでした。
そして利益がでれば、借金したお金はすぐに返済すれば問題ないだろうという考えからでした。
その時のこともブログに書いておりますが、ちょうど借金をしてトレードをした時に40万円程の利益がでました。
せっかく利益がでたので借入れた250万円はすぐにでも返済にまわせばこのような事にはならなかったと思いますが、1枚程度のポジションでしかポジションを持ってトレードした事がなかった人間がいきなり、複数枚のポジションを持って利益を得た事で、すっかり味をしめてしまい、自分でのコントロールができなくなっていました。
タロウさん
やはり当時の思いとしては、借金をしている事だけは絶対にバレてはいけないという思いがありましたので、もうバレないようにする為には後には引くことができませんでした。
もうこれ以上やめておこうという考えはなかったと思います。
まだ借りれる所があるのならそこから資金を調達する。そしてなんとかトレードで返済していくという思いしかありませんでした。
【FXを始めたきっかけは口座開設によるキャッシュバックから】
タロウさん
以前に自己資金で株取引をしていたことがあり、その頃からFXにも興味を持っていました。
通貨の上がり下がりの差益で利益を出せるということに興味がありました。
株であればどうしてもファンダメンタル的な所も多いのでFXの方がいいと思っていました。
ちょうどアフィリエイトのサイトでセルフバックで口座開設すると現金1万円のキャッシュバックというのがあり、それで口座を開設しました。
それがFXを始めたきっかけです。
【借金の返済分は利益をあげなければならないという思いからポジポジ病に】
タロウさんがそうなってしまった原因を教えてください。
タロウさん
ポジションを持っていれば利益になる。
まあその逆ばかりなのですが、特に自分がポジションを持っていない時に相場が大きく動いたりした時などは、自分がポジションを持っていれば大きく利益を出せたのに、と自分に都合のいい事ばかりを思ってしまい、常にトレードをしていないと落ち着かないというような状況になっていました。
自分では分かっているのですが、なかなかそれをコントロールする事ができませんでした。しかも借金してのトレードですので、借金の返済分はどうしても利益をあげなければいけないという思いも加わり常にポジションを持っていました。
【寝ても覚めても借金の事が頭から離れなくなっていた】
辛かったと思うエピソードなどもあれば教えてください。
タロウさん
借金していてもFXで利益を出し続ければ返済できるし問題ないと思っていました。
ブログにも綴っていますが、本当に借金を告白するまでは毎月の返済が特に滞る事もなく、
順調に返済ができていましたので、精神的に追い詰められるという事はなかったです。
本当に辛かったのは、今から約2ヶ月くらい前に妻に借金を告白した時からです。
借金を告白した時はかなりの借り入れがありましたので、新たな資金の調達ということができません。
なんとしてでも月々の返済分は利益を出さなければいけないというプレッシャーやあせりから、無謀なトレードが多くなっていました。
寝ても覚めても借金の事が頭から離れなくなっていました。
いくらお金がないとはいえ犯罪者だけにはなってはいけないと思っていましたので、犯罪に手をそめるような事はありませんでしたが、どうすればお金が手に入るかなと悪い方に考えてしまう事はありました。
タロウさん
犯罪には手を染めませんでしたが、考えている事は犯罪のような事でした。
ニュースなどで、現金の強奪や、ATMの爆破など色々ありましたが、すべて頭をよぎりました。
【毎月の返済によるプレッシャーから無謀なトレードに】
タロウさん
やはり借金をしてトレードしているということで余剰資金ではないということ。
なくなっては困ってしまう資金だから。
毎月の返済日には必ず決まった額の返済をしなければいけません。
その為にも必ずその金額分だけの利益はあげなければいけないというプレッシャーに押されて無謀なトレードをしてしまう事になる。
返済日が近づいてきて目標とする利益が出ていない時などは、なんとかしなければいけないと焦りばかりが生じる。
借金をしているという事でメンタル的にもかなり疲労してしまいます。
心に余裕がないので、ちょっとした事でもすぐにイライラしてしまい、周囲との関係も悪くなります。
【個人再生のペナルティ】
タロウさん
はい、私は個人再生という法律の下で借金の減額をしていただきました。
債権者にしてみたら、かなりの額を貸し付けているのに、たったの1/5しか返ってこない事になります。信用して貸していたのに裏切られたとなるわけです。
その為、それぞれの信用情報機関にあいつはブラックだから気をつけろとブラックリストに登録されてしまいます。
なので今後5年から10年は一切のクレジット取引や銀行からの借入ができません。
また10年経過した後も社内ブラックとして残るので借金を減額してもらった金融機関や
カード会社との取引は難しいとの事です。
家族になにもなく10年過ごすことが出来ればいいのですが、お金というのはある日突然必要になったりするものです。本当にまとまったお金が必要になってしまった時にやはり苦労するのではないかと思います。
【自分の命はたかだか1250万円ぐらいではない】
実際今までにもFXの借金により自殺者は出ています。
現在そのような辛い状況に立たれている方へ向けて、タロウさんからメッセージをお願いいたします。
タロウさん
自殺だけは絶対にだめです。
私も自殺を何回も考え、自殺に関するサイトも見ましたが、自殺というのは絶対にしてはだめなことなんだと改めて思いました。
多額の借金をして自殺をした場合に残された人は、当事者が死んだ後にその事実を知る事になります。
残された遺族は、自殺し死んでいった人への悲しみが収まらぬ中に、初めて知らされる借金の事実は、はかりしれないショックと怒りを与える事になってしまいます。
当事者は自殺して死んでいるから後の事はすべて残された遺族の方が処理をしなければなりません。
自殺しただけでも相当の悲しみや迷惑をかけているのに借金まででてきてしまったら、その怒りは相当なものになると思います。
それに自分の命というのはそんなに安い物なのかという風に思いました。
私の場合1250万円の借金でしたが、自分の命はたかだか1250万円ぐらいではないと強く思いました。
そして、死んだらすべてが終わってまう。借金の告白をすれば当然ショックを受けるだろうし怒られるだろうけども、自殺して迷惑をかけるよりはマシだと思いました。
生きていれば何回だってやり直せるし、頑張れば何とかなると思いました。
今回は、法律のお世話になり個人再生という手続きで債務の整理をしました。
先ほどお伝えした個人再生によるペナルティもありますが、それは身から出た錆なので仕方ありません。
しかし元気に生きて仕事ができているという事がほんとにすがすがしく感じます。
借金で苦しんでいる方は、一刻も早く、身内の方に打ち明けて下さい。
その時は怒られると思いますが、何よりも死ぬよりはマシです。
それに人間死ぬ覚悟を持てばなんでもできます。
私もこの個人再生を通して、本当に再生して頑張っていくようにしたいと思っています。
安易な気持ちで取り組んだFXですが、軽い気持ちや、勉強不足で勝てるような甘い世界ではありません。
ましてや借金してトレードするなんて絶対にやってはいけない事です。
私はこんなになりながらでもFXを否定するつもりはありませんが、一度相場から退場した物として、今から述べるような方はFXをやるべきではありません。
まず、簡単に稼げると考えている方。
FXは簡単に儲かるものではありません。
次に、たまたまの勝ちでいきなり大金を手にしたことを実力と勘違いしておられる方。
特に普段から大金を手にした事が無い人が勘違いしてしまうと身を滅ぼします。
また、借金してトレードしている人。
そのような人は傷が広がらない内に手当してください。
自らに課したルールなどを守れないなど、自分に甘い方もやるべきではないです。
最後に、利益、利益でリスクマネジメントが出来ない方。
以上が私が思う所です。
最後は少し自殺の部分からはそれましたが、これを見て下さる方へ少しでもお役にたつ事ができれば幸いです。