2007年からFXを始められた兼業トレーダーのため。さんは、小学校のころから為替に興味があったそうです。
今回はそんなため。さんに、FXを始められてから現在に至るまでのご経験を踏まえてインタビューにご協力いただきました。
【為替に興味を持ったのは小学生の頃】
ため。さん
小学生の頃、テレビのニュースに上田ハーローのディーリングルームが頻繁に写っており、円卓を囲んで、両耳に受話器を当てて取引する姿に憧れました。為替の取引はプロのディーラーしか出来ませんでしたので、大学卒業後は通信系のソフトウェア開発会社でシステムエンジニアを9年ほどやっていました。
バブルの頃で、連日、深夜まで残業、休みも無かったので為替のことは忘れてましたが、15年ほど前、今の会社の経理を任されるようになってから、銀行へ頻繁に行くようになり、銀行の営業担当の方から外貨預金を勧められ口座を開設。
その後、FXの方が手数料が安い事を知り口座を開設しました。
【超短期取引は笑顔でロスカットが出来るくらいでなければ精神的にキツイ】
そのような環境で兼業トレーダーとして生活される上で、工夫しておられること、気を付けておられることなどがあれば教えてください。
ため。さん
短期~長期までいろいろやりましたが、私の「生活」、「性格」では超短期取引以外は出来ない事に気付きました。
ポジションが気になって仕事にも影響しますし、何がおきるか分からない世界ですから、相場に集中出来る時間以外はポジションを持たないようにしています。
超短期取引はリスク管理をしっかりしないと、1回の取引で全ての資金を失います。
笑顔でロスカットが出来るくらいでなければ精神的にキツイです。
ほかに取引以外にやらなければならない事の方が多いと思います。
損益や取引の内容を記録するのは当然ですが、意外と時間がかかりますので取引内容のファイル出力機能とエクセルを使ってコピペだけで集計出来るようにしました。
お金を扱いますので金銭感覚も大事ですし、資金管理の点からも出納簿を付けなければと思っていますが、そこまで時間が無いので最低限、毎日の現金、預貯金の残高は記録しています。
【一瞬で数百万の損失を出した】
ため。さん
私がFXを始めたばかりの時、一瞬で数百万の損失を出した事がありました。
テクニカルを勉強したのはその後ですが、追い込まれた状況でしたので、何種類ものテクニカルを公式まで理解しました。
その時、1か月で体重が10kg落ちたこともありました。
パソコンで過去10年分の相場を分析するアプリを作った事もあります。
しかし、どんな相場にも対応できるテクニカルはありませんし、複数のテクニカルを組み合わせても相場の状況次第で利益を上げる事も大きな損失を出すこともあります。
今はRCIとボリンジャーバンドの組み合わせですが、パラメータは一般的な値と大きく変えています。
パラメータによってテクニカルの線は大きく変わります。
取引手法や相場環境によって最適に出来れば良いですのが、最適な値を見つけたときには相場の流れが変わっていたりしますので、それも困難です。
ですので、テクニカルの値を見るのではなく、テクニカルの流れと相場の動きの差を見て、あとは経験とカンでやっています。
初心者の方がテクニカルで利益を上げたとしても、一時的なことだと思います。
初心者に限らずネットなどで話題になったトレーダーでも、利益が出せなくなってブログの更新が断続的になり、そのうちフェードアウトなんて事は何度も見ています。
【無責任な広告があふれているが、業者側が責任を負う事はない】
このような広告について、ため。さんのご意見を聞かせてください。
ため。さん
確かに簡単に始める事は出来ますが、生き残るだけでも容易な事ではありませし、200万円の利益が出ると言う事は、200万円の損失が出る可能性もあると言う事です。
FXに限らず取引はすべて自己責任ですから、表現にさえ気をつければ広告を出す業者さんは責任を負うことはありません。
無責任な広告があふれている状況は不快に思ってます。
【10年やってもプロに必要な「何か」は見つかっていない】
ため。さん
90%という数字は、昔から株取引で言われている数字だと思います。
株、先物、投資信託などの経験がありますが、投資の中でもFXが一番難しいと思いますし、FXのブログやFXをしている知人などを見ていると、継続して利益を上げている人はもっと微々たる人ではないかと思います。
為替の取引は、もともとはプロしか出来ない仕事でしたので、資金力も情報量、情報の早さもプロにはかないません。
テレビ、新聞などは全く無意味だと思ってますので一切見ません。
継続して稼ぐにはプロには無い何かが必要だと思いますが、10年やってても見つかっていません。
【成功するかどうかは一生わからない】
ため。さん
考えられるすべての失敗をしていると思いますが、FXを始めて数年後、「FXで大金を稼ぐ」なんて妻に宣言してしまったことが一番の失敗です。
そんな甘い世界じゃなかったです。
いまだにツツかれます。
一応は相場に生き残ってますが、成功するかどうかは一生わからん感じでもあります。
【「禅」の本を何十冊も読んだ】
ため。さんが思うメンタルコントロールの難しさや、メンタルとFXの関連性について詳しくお聞かせください。
ため。さん
自動売買も試しましたが、ロジックを考えたり検証したりと、意外と手間がかかりました。その上、相場状況が変わるとロジックも変えなければならず、今より手間がかかりましたのであきらめました。
手動で取引する場合は、取引のボタンをクリックした後、出来ることはロスカットか決済かしかありません。
マイナスに行った場合は、損失が広がって行くのを見るのもロスカットをするのも精神的に負担がかかります。
取り戻したい気持ちも出てきますので、今度は決済のタイミングを逃したりといったことがあります。
ドル円の場合は上げよりも下げの方が値幅が大きい事が多い気がしますので、損失を出した後は、状況にかかわらず売りをする事が多くなるなど。
FX自体、欲があるからやっている訳ですので、感情を抑えて正しい判断をする事は難しいと思います。
メンタルの強さは個人差があると思います。
最近は損失を出しても、それほど落ち込まなくなりましたが慣れたわけではなく、「禅」の本を何十冊も読んだ結果だと思います。
ため。さん
有名な言葉ですが「知足(吾れ唯だ足るを知る)」は私への戒めとしてビッタリだと思います。
現状に満足しなさいといった意味です。
たとえば、-100pipsの損失だった時、次の取引で+80pipsになった場合、一度に取り戻そうという気持ちがはたらいて決済できずに反転、結果、損失拡大なんて事が良くあります。
「禅」以外にも「般若心経」の勉強もしました。
世の中はすべて「空」という事で、お金ってのも実体のないものだと思います。
FXをやっていれば分かりますが、通貨の価値は常に変わります。
国の経済が破綻すればゼロに近くなります。自分が死ねば、あの世まで持って行くことは出来ません。
取引とは直接関係ありませんが、妻の祖母が坊さんに言った言葉です。
「あんた、苦労してるかい?苦労しなきゃ駄目なんだよ」二十歳の頃から60年、海の家を経営していた人ですが、苦労しなきゃ進歩は無いと解釈しています。
【FXを簡単に稼げると考える人が身近にいたら・・・】
ため。さん
「普通に働いた方が楽です」
私の場合は相場が好きでやっている面が大きいので続けられていると思います。
ため。さんが相場でいかに努力をされているのかというのが伝わってくる、リアルなお話を伺う事が出来ました。
貴重なコメントをいただき、誠にありがとうございました。