鳥取県湯梨浜町でデイサービスセンター(通所介護施設)とグループホームを運営する社会福祉法人「信生会」(岸田専蔵理事長)が24日、経理担当の男性係長(37)が同法人の預金や施設利用料など計約1億3500万円を着服していたと発表した。
同法人は今月20日に係長を懲戒解雇し、業務上横領の疑いがあるとして県警倉吉署に被害届を提出した。
同法人の代理人の弁護士によると、係長は個人的に行っていた外国為替証拠金取引(FX取引)の損失穴埋めのため2010年1月から複数回にわたり、施設利用料など計約2230万円を着服。昨年6月以降は、架空の稟議(りんぎ)書を作成したり、届け出印の印影を偽造したりするなどの方法で、預金口座から計1億1280万円を引き出していたとしている。
係長は01年に同法人に採用され、08年から会計経理を担当。県の定期監査が予定されていた5月23日、着服を明かした手紙を職場に残して行方をくらましたが、3日後、愛知県内で見つかった。
係長は弁護士の聞き取りに対して着服を認め、「FX取引で利益を出して返済するつもりだった。迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪しているという。
読売新聞 2013年6月24日掲載分
今回解雇された職員は記事にもあるように、利用者から預かった施設利用料の着服、業者への架空の伝票や稟議書の作成、届出印の印影の偽造、など、様々な手口で着服を繰り返しています。
中には大胆にも法人預金口座から無断で現金を引き落としていたという情報も寄せられています。
この職員は2010年1月から2013年5月ごろまでの約3年半で1億3500万円もの金額を着服していますが、このように何年間も経理を一人きりで担当させ、それが原因で着服に至るというのはもはやお決まりのパターンと言えます。
FXで返済するつもりだったとの事ですが、着服で得た資金をFX取引きに回し、何もなかったかのように不正をもみ消せたという事例は聞いたことがありません。
着服を繰り返す段階で利益が出ていなかったと想像がつきますが、それ以前にFX取引きはギャンブルとは異なり、お金が必要な切羽詰まった状況で一か八かで勝てるものでもありません。
このようなFX絡みの事件は年々増加しています。
しかし大々的に報道される事件の多くは、あくまでも規模が大きいものや特殊なものしかありません。
規模の大小に限らず、全国のFXに関連する事件全ての件数を数えるとすれば、私たちが把握できる事例はほんのごく一分だと言えるのではないでしょうか。