りそな銀行は1日、東京都豊島区の池袋支店に勤めていた20代の男性行員が顧客から私的に集めた約1億5500万円を外国為替証拠金取引(FX)などの運用に回し、大半を消失させていたことを明らかにした。男性行員は問題の発覚後に自殺した。
りそな銀行広報グループによると、男性行員は営業担当だった2013年7~12月、企業経営者ら顧客計3人に「自分に出資してくれたら資産を増やす」などと持ちかけて、個人や法人名義で出資させた。
今年1月16日、このうちの1人が池袋支店に、男性行員に連絡できないと問い合わせたのをきっかけに問題が発覚した。男性行員は翌17日に自殺したという。
りそな銀行の調査で、男性行員が顧客3人のうち1人に2千万円を支払ったことが確認されたが、残りの資金はほぼ消失していたという。
りそな銀行は行員が業務外でお金を集めたり、FX取引をしたりすることを規定で禁止しており、男性行員の行為は懲戒解雇処分に相当するという。りそな銀行は金融庁に調査結果を報告した。りそな銀行広報グループは「誠に遺憾だ。再発防止に向けて行員教育を徹底したい」と説明している。
日本経済新聞 2014年5月1日掲載分
自殺した行員は2013年7月~12月の間に3人の顧客から資金を集めたとありますが、いつのタイミングからFXを行っていたかは定かではありません。
ですが突然FXでの運用を思い立ち資金を集めたとは考えにくく、すでに投資で被った損失の穴埋めを狙ったか、運よく出た利益に気を大きくし、根拠のない自信からさらに利益を得ようとしたか、このどちらかであると考える方が自然と言えます。
銀行員が業務外で顧客から資金を集め運用するという話は決して珍しくありません。
今回の事件は2014年1月にあった顧客からの問い合わせにより発覚していますが、もしこの銀行員の運用がたまたま上手くいっていれば事件の顛末は変わっていたのでしょうか。
ただ、記事のとおり自殺した行員は、顧客らから集めた1億5500万円という莫大な金額のほぼ全てを消失させています。
ネット上では、
「20代でりそな銀行の池袋支店に務めるほど優秀でもFXは失敗するのか」
といった声も上がっています。
このように一般人からすると、銀行員という肩書が金融のプロであるような安心感を抱かせてしまうのかもしれませんが、短期間でここまでの金額を溶かしてしまうという事は、明らかにプロとは言えない自棄なトレードを繰り返していたのではないでしょうか。
いずれにせよ90%が負けると言われるFXの世界において、そう簡単に利益をあげられるほど甘くは無く、何年も努力を続けてもなお勝てないトレーダーもいるほどです。
事件を起こした行員は、20代という若さで自らの命を絶つという最悪の結末を選びましたが、FXがいかに厳しい自己責任の世界であるかを考えさせられる事件だったと言えるのかもしれません。