札幌市に本社があった投資関連会社オール・イン(甲府市)による外国為替証拠金取引(FX)をめぐる詐欺事件で、逮捕された元専務で無職小原寛也(かんや)容疑者(42)=神戸市長田区東尻池町4=が逮捕前の事情聴取に「FXの自動売買ソフトは存在せず、ノウハウもない。競馬予想ソフトのリース事業での20億円以上の借金を返すためにやった」と話していたことが5日、捜査関係者への取材で分かった。
道警と宮城、岡山、広島3県警の合同捜査本部は、競馬ソフト事業の莫大(ばくだい)な債務を返済するために、詐欺容疑で指名手配中の社長森克彦容疑者(47)らが、正常なFXによる運用を装い、出資金などをだまし取ったとみて調べている。
捜査関係者によると、同社は2006年、マルチ商法による競馬予想ソフトのリース事業を始めたが、集めた資金の大半を森容疑者らが私的に流用し破綻。07年から、実在しないFXの自動売買ソフト「ビクトリーランFX」を売り物に全国から出資金を募り、337億円を超える資金を集めるなど事業を拡大したという。2014年9月7日掲載分
オール・インの運用は、タックスヘイブンで有名なキプロスという国で顧客に口座を開設させ、その資金をパナマの運用会社から遠隔で配当するという複雑なものです。
2007年からオール・インは「”ビクトリーランFX”という自動売買ソフトを使えば高い運用益が得られる」と謳い、資金を集めています。
2008年の秋ごろからは顧客への配当が滞り、その後2009年には集団訴訟が行われています。
オール・イン社長の森克彦氏は2010年11月に中国へ逃亡し、2014年10月不法滞在者として中国公安当局に出頭、強制退去処分となり、同年12月の帰国と同時に羽田空港で逮捕されています。
森克彦氏の逮捕当時の所持金は千数百円だったそうです。
民事裁判では2013年7月、東京地裁よりオール・インに対し1億6000万円の賠償が命じられていますが、刑事裁判では「資金の流れの全体像が解明できず詐欺の立証は困難」とし、嫌疑不十分との判断で不起訴となっています。
これはキプロスのように日本との国交が希薄な国が絡んでおり、十分な協力を得られなかった事が原因ではないかと考えられています。
今回の事件でオール・インは「出資すれば月20%の配当を提供する」という触れ込みにより、全国のおよそ2万7000人もの顧客を集めています。
まず20%の配当をもらえるという話自体ありえない事ですが、そもそもそのような儲け話は確実に詐欺であると考える方が賢明だと言えるのではないでしょうか。