息子を装って女性(60)に電話をかけ、「外国為替証拠金取引(FX)投資のための金が必要」などとうそをつき現金約300万円をだまし取ったとして、愛知県警捜査2課などは22日までに住居・職業不詳、高久昇容疑者(24)を詐欺容疑で逮捕した。県警によると、「全く知らない」と容疑を否認している。
県警はだまし取った金の引き出し役の少年(19)ら3人を逮捕しており、供述などから高久容疑者が浮上。高久容疑者のグループが昨年6月以降、同様の手口で愛知、三重、岐阜県など1都10県の男女計91人から計約1億3600万円をだまし取ったとみて裏付けを進めている。
逮捕容疑は昨年7月、東京都目黒区の自営業の女性(60)に息子を装って架電。「FXに手を出した。もうかるのだが金のあてがない」などとうそをつき、3回にわたって計約300万円を振り込ませだまし取った疑い。
日本経済新聞 2012年6月23日掲載分
ターゲットの息子になりすまし現金を振り込ませる「振り込め詐欺」ですが、コンビニや銀行のATMで注意を呼び掛けている現在でも同様の被害は後を絶ちません。
今回の事件は「FX」というワードを悪用し、息子役である自分が儲かる事を前提に金を騙し取るという手口です。
よく耳にする「交通事故をおこした」「痴漢で逮捕された」等の騙し文句で示談金を要求する手口とは違い、あくまでも資金を増やすための一時金として要求するため、被害に遭った方からすると少なからず安心感を抱いてしまったのかもしれません。
いずれにせよ親心を利用した相当悪質な犯行である事に違いはありません。
今回逮捕された高久昇氏ですが、服役中の2013年に別容疑で逮捕されているという情報が寄せられています。
報道によると高久昇氏は2010年12月、主犯の斎藤邦美氏ら他数名と、当時24歳だった土屋彰勲さんに暴行を加え、八王子市内の団地に拉致監禁、埼玉県の墓地に遺体を埋めた疑いが持たれたとの事です。
2013年10月ごろ、警視庁捜査一課の捜査員が霊園の一角を掘り返したところ、土の中から全身の白骨遺体が見つかり、DNA鑑定の結果2010年12月から行方不明となっていた土屋彰勲さんのものと断定されました。
死体遺棄に加担したメンバーは、当時八王子市に拠点を置く振り込め詐欺を繰り返す集団で、土屋彰勲さんもそのグループに所属していたそうです。
調べによると金銭トラブルによるもつれが原因で事件に巻き込まれたものと見られています。
振り込め詐欺で逮捕された高久昇氏と同一人物なのかは定かではありませんが、同姓同名であることと、公開されている年齢が都度一致することから、同じ高久昇氏である可能性が高いと考えられます。
事件発覚後逃走を続けていた主犯の斎藤邦美氏は、警視庁の全国指名手配捜査により2015年1月に逮捕されています。
今回の振り込め詐欺事件では、何らかの形で被害者と死体遺棄に関わった人間が接触していたとしてもおかしくありません。
振り込め詐欺はもちろんの事、そもそも電話でFXなどの投資話や金銭の貸し借りの話には、まず疑いを持つという警戒心が必要です。