英国の証券会社による運用を売りにした外国為替証拠金取引(FX)への投資を巡り、指定口座に入れた現金の引き出しに応じてもらえず、全額を失ったとする申告が佐賀など31都道府県の約80人から寄せられ、計約8億3千万円に上ることが31日、被害者団体「リディアリッチ被害者の会」のまとめで分かった。
投資を勧誘する会社は複数あり、いずれも香港や中国などの口座を使って高配当が得られるとうたう。被害者側は投資詐欺として警察に訴えるが、国境の壁もあり、海外口座を経由した金の流れの解明は難航しそうだ。
同会によると、被害者は「ヘリテイジ」、「ジャパンテクノロジーシステムズ」(いずれも東京)などのソフトウエア会社から「運用で確実に利益が出せる」と勧誘され、FXの自動売買ソフトを数万~数十万円で購入、さらに海外口座へ投資金の振り込みを指示される。だがその後は出金されず、最終的に「運用を失敗した」と説明され、口座残高がゼロになるのが共通パターンだ。
佐賀新聞 2016年8月1日掲載分
リディアリッチは日本人向けのサービスを提供する会社で、ニュージーランドにて法人を設立した日本人経営の企業であることが明らかにされています。
ニュージーランドの金融規制は「ニュージーランドの人へ営業をかけなければ金融ライセンスは必要ない」という少々特殊なもので、リディアリッチはこの金融規制を利用し、無免許でサービスを提供したと見られています。
今回の詐欺は、日本の投資家やトレーダーに対し、自動で取引を行ってくれる自動売買(EA)システムを売りつける事を入口としています。
次に「購入いただいたEAは国内の使用ができないため、海外に口座を開設する必要がある」と案内し、中国や香港などの口座を開設させ入金させています。
入金が完了してからは、投資が順調であるかのようなアピールをしつつさらなる入金を持ち掛け、一方出金をしようとする顧客には「未決済の取引があるので対応できない」と出金を拒否していたそうです。
最終的には「今回の取引は失敗に終わった」との知らせが入り、口座資金を0にされ音信不通になる、というのが一連の流れのようです。
記事にもある被害者団体「リディアリッチ被害者の会」は、”海外の口座が関わっている時点で警察側でも解決が不可能であり、それを把握している犯行グループは堂々と詐欺を繰り返している”と、絶えることの無い詐欺被害の現状を述べています。
リディアリッチは現在では存在していませんが、被害者の会側は「詐欺会社は名前を変えて詐欺を繰り返す」と注意喚起を促しています。
今回の件で被害に遭わなかった方でも、このような詐欺は常に身近で起こっているという強い警戒心を持つ必要があるのかもしれません。