東京都豊島区の造幣東京博物館から約6400万円相当の金塊を盗んだとして、
埼玉県警捜査3課と大宮西署の合同捜査班は19日、窃盗の疑いで、さいたま
市西区内野本郷、独立行政法人造幣局東京支局総務課専門官、梅野穣容疑者(54)
を逮捕した。逮捕容疑は、今年1月5日午後4時半ごろ、勤務する同支局敷地内の同館で、
展示されていた金塊(高さ6センチ、幅10センチ、長さ20センチ、重さ15キロ)を
盗んだ疑い。容疑を認めており、動機について
「FX(外国為替証拠金取引)の損失を補填(ほてん)するためにやった」
と供述しているという。県警捜査3課によると、梅野容疑者は広報業務を担当。「仕事の一環」と称し、
上司に無断で金塊を持ち出した。金塊がなくなり、同館はレプリカを展示していた。
今月17日、造幣局から「金塊を持ち出した可能性のある人がいなくなった」と
同署に相談が寄せられ、捜査。さいたま市内の質店で金塊を発見した。造幣局によると梅野容疑者は1980年に入局。普段の勤務態度に問題はなかった。
今月15日から無断欠勤していたという。大阪市北区の造幣局で記者会見した市場保弘総務部次長は
「管理体制が甘かったと認識している。深くおわび申し上げ、再発防止に万全を期したい」
と陳謝した。埼玉新聞 2016年6月21日掲載分
造幣東京博物館は、古銭や記念貨幣、勲章などおよそ1000点を展示しており、造幣局東京支局の構内に設置されています。
今回逮捕された梅野 穣(ゆたか)氏はその東京支局で広報活動などを担当していました。
梅野氏は2016年1月5日、「財務省に金塊を貸し出す」などと嘘を言い、上司に無断で金塊を持ち出し、質屋に質入れしています。
その後2016年6月、金塊が返却されていない事がわかり職員が警察に相談、この段階で梅野氏は職場を無断欠勤しています。
2日後の17日にさいたま市内の質店で金塊が発見され、最後に持ち出したという梅野氏に事情を聞くと容疑を認めたため、19日に逮捕にいたったとの事です。
金塊は質店で4500万円に換えられていましたが、県警が押収しています。
2016年9月6日の初公判の際、検察側は冒頭陳述で「FXで損失を出し、銀行や知人から借金をしていた」と指摘しており、質入れした4500万円を借金返済に充てたことが明らかにされています。
今回の事件は、会社や顧客の資金を着服するのではなく「金塊を盗み質入れする」という比較的珍しい犯行に思いますが、仕事上身近にある金品を不正に持ち出すという犯罪行為に変わりはありません。
FX取引が原因で悲惨な生活を送っている方は、現金や金塊に関係なく、目の前の価値あるものを借金に充てようと考えてしまうものなのでしょうか。