無登録でファンドの出資金を集めたとして、愛知県警は4日、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで、名古屋市中区の投資会社「アイエムビジョン」の元代表取締役や営業部長ら5人を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
5人は高齢者を中心に、全国の数百人から約15億円を集めたとみられ、県警が裏付けを進めている。
捜査関係者によると、元代表取締役らは少なくとも2012年から13年ごろにかけ、外国為替証拠金取引(FX)や国内株式への投資名目で、国に無登録で出資金を集めた疑いが持たれている。
千葉日報 2015年8月4日掲載分
今回逮捕されたのは、アイエムビジョン元実質経営者の前田勲氏ら5人であることが判っています。
同社は「2年満期で6%の金利により年金の不足を補える」といった謳い文句で高齢者をターゲットに勧誘し、出資金を集めていたと見られています。
「アイエムビジョン」という投資会社は、”適格機関投資家等特例業務”を行う業者であったとの情報が寄せられています。
適格機関投資家等特例業務とは、定められた要件を満たせば第二種金融商品取引業の登録や投資運用業の登録が不要となるもので、その要件の中に「出資に関わる人数が49名以下であること」という規定があります。
アイエムビジョンは愛知県、三重県などの高齢者を中心に、延べ389人から出資金を集めていたため上記法律の要件を満たしておらず、さらに顧客からの出資金を償還金の支払いに充てるなど混合した管理・運用をしていた事が、証券取引等監視委員会の調査により明らかになりました。
証券取引等監視委員会は2014年1月、金融商品取引法違反行為に係るとして裁判所へ申し立て、アイエムビジョンへは業務停止命令処分が下されています。
同社はこれを受け名古屋地裁に自己破産申請を行い、同月に破産手続きの開始決定を受けています。
負債総額は11億円以上であることが判っています。
最終的に前田勲氏らは無登録営業の疑いで逮捕されていますが、当初は”適格機関投資家等特例業務”の要件を満たす業者として事業をしており、はなから全くの無登録営業ではありません。
そこにどのような狙いがあったのか定かではありませんが、混同した資金管理・運用をしていたことと、ターゲットにされたのが高齢者ばかりという点から考えると、悪質な魂胆があったと考えても不思議ではありません。