交流サイト(SNS)を使い、異性を誘い出す「デート商法」で必ず利益が出ると嘘をつき、株価指数先物取引などの自動売買ソフトを高額で売りつけたとして、大阪府警は28日、大阪市西区のソフトウエア販売会社「WAO」社長の韓国籍、片和男容疑者(33)=同区新町1=ら男女13人を詐欺と特定商取引法違反(不実告知)の疑いで逮捕した。
府警によると、デート商法について詐欺容疑を適用して摘発するのは異例。2009年2月以降、計18府県で延べ約990人から計約9億5800万円を集金していたとみられる。片容疑者は「ソフトを卸していただけで、どのような方法で販売していたのかは知らない」と否認している。
逮捕容疑は11年8月~12年9月、SNSで知り合った大阪府や兵庫県の20代の男女10人をデートに誘い出し、「必ずもうかる資産運用の方法がある」と勧誘。株価指数先物取引や外国為替証拠金(FX)取引の自動売買ソフトなどを販売して計約1830万円をだまし取った疑い。
府警によると、20代の勧誘員らがSNSを使って被害者とデートを約束。勧誘員が事務所に連れて行き、購入契約を結ばせていたという。ソフト1組の価格は約96万円だった。
大阪市消費者センターが12年6月、購入者から寄せられた被害相談を府警に情報提供。同年9月、府警が関係先を家宅捜索した。
日本経済新聞 2013年5月28日掲載分
記事上では「SNSを使ってデートに誘いソフトを購入させた」のように犯行の流れだけが取り上げられていますが、実際の手口はもう少し悪質です。
片氏らが利用した「SNS」は、当時流行したインターネットの交流サイトで、多くの利用者から人気を集めていました。
デート役はそのSNSで偽名と嘘の職業を名乗り、「いじめの相談」「病気の話」「苦労話」などをでっちあげ接触を図り、「ソフトで資産運用して人生が変わった」と勧誘を行い契約をさせるという手口です。
資金が無い場合は消費者金融で借金をさせ代金を支払わせることもあったそうです。
デート役にはホストやキャバクラ勤務歴のある社員を使っている事から、ターゲットの恋愛感情を引き出し利用する狙いもあったのかもしれません。
販売された96万円のソフトはサポートも無く役に立たない代物で、利用者から消費者センターに苦情が相次ぎ、2012年9月、府警は関係先を家宅捜索しています。
2014年1月21日、大阪地裁は片氏に懲役2年、執行猶予5年、罰金250万円の有罪判決を言い渡しました。
犯行について大阪地裁は「組織的かつ常習的で極めて悪質」とする一方「被害者に弁済を済ませている」として猶予刑にしたとのことです。
今回の事件のようにSNSを利用した詐欺は今となっては珍しくありません。
匿名の登録から簡単に繋がりを持てることから、詐欺を狙ったグループが潜んでいてもおかしくありません。
「必ず稼げる」のような儲け話は存在しない事はもちろん、SNSからの突然のコンタクト等にも注意が必要です。