近畿日本鉄道子会社の「近鉄ビルサービス」(大阪市中央区)の運転資金計約10億5200万円をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は13日、元経理担当社員、逸崎良典容疑者(36)=奈良県橿原市、懲戒解雇=を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した。特捜部によると、同容疑者は容疑を認めている。
逮捕容疑は、同社の経理担当だった2008年4月~09年11月、計70回にわたり同社の銀行振込システムを不正に操作、自分名義の4口座に送金し計約10億5200万円を詐取した疑い。
同社によると、詐取したとされる資金の使途について、逸崎容疑者は「外国為替証拠金取引(FX)など個人的な投資の損失を穴埋めしようとした」などと説明していたという。
銀行振込システムは送金の際に経理担当幹部のパスワードが必要。同容疑者はシステム導入時の開発に携わっており、予備で作られたパスワードを不正に利用していたとみられる。
日本経済新聞 2010年5月13日掲載分
近鉄ビルサービスは1972年設立の、ビルやマンションの管理業を中心とした企業で、従業員数は2000人以上にものぼります。
逮捕された逸崎良典氏は同社で経理を担当しており、その立場を利用し取引先として自分の口座を紛れ込ませていたといいます。
記事のとおり振り込みの際は予備のパスワードを悪用していたとの事ですが、10億円以上もの大金を着服されるまで誰も気が付かないほど、杜撰な管理体制であったことが予想できます。
2010年9月21日、大阪地裁は逸崎氏に対し「FXで多額の損失を出し、負債を取り返そうとさらに資金を騙し取った身勝手な犯行」と指摘し、懲役8年の判決を言い渡しました。
FXの損失を埋めるために会社の金に手を出す事件では、どれも100%負けています。
容疑が明らかとなった際、犯行に及んだ人間は口をそろえて「あとで返すつもりだった」と言いますが、根本的に罪の意識が非常に薄いと言えるのかもしれません。
着服をして得た資金でFX取引をしても勝てない理由としては、「いついつまでに返さないといけない」という気持ちが精神状態を狂わし、トレードにマイナスの影響を与える事だと考えられます。
FXのために会社の金に手を出した段階で、結末は目に見えていたと言えるのではないでしょうか。