山形市の建設資材会社から約7億円を着服したとして、業務上横領罪に問われた山形市鈴川町2、元取締役経理部長、塩野正孝被告(35)に、山形地裁は14日、懲役8年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。
矢数昌雄裁判長は判決理由で「会社の預金残高を改ざんするなど計画的で巧妙な犯行だが、全財産の538万円を弁償に充てている」と述べた。
判決によると、塩野被告は数年前から始めた外国為替証拠金取引(FX)による損失を穴埋めするため、昨年1月から今年3月にかけて、同社の普通預金口座から現金約7億2千万円を引き出していた。
日本経済新聞 2011年9月14日掲載分
塩野氏は勤め先である建築資材販売会社の「三條物産」で預金口座や帳簿の管理を担当しており、その立場を利用して計74回、額にして7億2450万円もの莫大な金を横領しています。
山形地裁は塩野氏に対し「あらかじめ代表者印が押された払戻請求書を携帯したり、預金残高を改ざんする工作を行ったりするなど、背信性が高く計画的で巧妙な犯行」と厳しく断罪しています。
調べによると塩野氏は逮捕される10年ほど前から自己資金で投資をしており、FX取引を始めたのは数年前からだと言います。
記事では2010年1月から2011年3月にかけて会社の金に手を出していたとありますが、FX取引を始めた正確な時期は明らかにされていません。
いずれにせよ決して短くはない投資歴を持ちながら、塩野氏はFXを始めたことをきっかけに着服を繰り返すはめになった可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
以前はどのような投資をしていたのか定かではありませんが、何年投資を経験してもFXには全く歯が立たないという為替の厳しい現実が想像できます。
結果的に莫大な金額を着服した塩野氏は、最終的に一発逆転にかけたギャンブルのように、後には引けない感覚に陥っていたのかもしれません。